伊豆大川温泉にある全室源泉かけ流し露天風呂付の宿「いさり火」から
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2022年1月のいろりダイニングのディスプレイは、七宝(しっぽう)家・中尾さやか氏による”七宝”です。
”七宝”とは、金や銀、銅などの金属の器に、ガラス質の釉薬(ゆうやく)を塗り、宝飾的な模様を作り高温で焼く技法と、その装飾品のことを指します。また、”七宝焼”、”七宝工芸”とも呼ばれます。
実は私たちの身の回りにも七宝によく似たものがあります。
それがホーローです。
商店などで昔懐かしのホーローの看板をご覧になった事がある方も多いのではないでしょうか。
また、高級腕時計の文字盤にもホーローが使われているようです。
実は、西洋では、「エナメル(enamel)」、中国では「琺瑯(ホウロウ)」、日本では「七宝」または「琺瑯/ホーロー」と呼ばれています。
ホーローが看板や鍋などの工業製品や実用品であるのに対し、七宝は伝統工芸技法の一つで、宝飾品や工芸品のことを指します。
七宝の語源は、諸説あるようですが、釉薬の成分を変えることで多彩な美しい色を発色する様が、仏教の経典にある「七つの宝物」 金・銀・瑠璃・水晶・シャコ貝・メノウ・真珠に見立てたとも。
奈良の正倉院宝物にも飛鳥時代の七宝が現存するそうで、日本での七宝の歴史が古いことがわかります。
今回はそんな中尾さやか氏による七宝をご紹介いたします。
銀世界の中でひっそりと力強く生きる姿を。
中国の思想家・荘子の説話。夢と現実の境があいまいになる不思議な感覚を淡い色彩の中に蝶の描き方に変化をつけて。
七宝焼の製作過程で多くの”切れ端”が出る土台の銅板。作品になりそうなモノ(=ひとつぶ)を拾い集めて左官さながらに埋め込んだ自身初の試み。
京都の鴨川のサギを、きらめく水面をシャープに型取りした真ちゅうの額の中に。
メダカとタニシ、水草のカリカワ。廃材と流木で組み合わせて。
今回の作品で唯一の無線七宝(釉薬を盛って焼成する前にテープ状の金属の輪郭を取り除く技法)。輪郭線の銀線がないことでふんわり優しい雰囲気に。
写真では伝えきれない美しさが七宝にはあります。
美しい七宝の世界を、いろりダイニングでお食事とともにお楽しみくださいませ。
花と観光の大使 N